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親ガチャ(改) [霊的存在]

近頃は「親ガチャ」などと言う言葉が流行っているようです。
子供は親の経済力や立場または能力によって人生が決まってしまうという傾向があるから、良い人生を送るか否かは運だけだということになるわけです。
たしかに地上的に見ればそうかもしれませんし、私も思わないわけではありません。
でもそれ以上に、私は幼少から、親や身近な人たちに深い関係を感じます。
また、その手の子供は親への不満に対して、育ててくれたことに感謝して不満を帳消しにするみたいなことを言っています。
生まれる前のことを問題にしているのに、生まれた後のことで解決するというのも滑稽です。
それを話題にするTVの司会者も、
「子供は親を選べないですからねえ」
などと無責任なことを言って、霊的なことには一切触れません。
でもよく振り返ると、そう言っている子供は、自分という実体を生まれる前にすでに置いているのですから、霊的存在であることを暗黙に認めているのです。【*】
おそらくぼんやりと霊的自覚をしてはいるものの、霊界での自分と今の自分の境遇との因果関係が認められないので、「巡り会わせ(偶然だ)」と言うのでしょう。

しかし霊的存在であるはずの自分がわざわざこの地上に生まれてきたのは何故かを考えれば、自分が自分の親の元に生まれたことも何か理由があると思うのが当然ではないでしょうか?
それとも、自分の肉体が生まれてから自分の霊が生まれるとでも思っているのでしょうか?
〔「産んでくれなんて頼んでないよ」とか「産んでくれてありがとう」というのもその思考法です〕
もしそうだとしても、肉体を構成する物質は、8年で代謝してしまいますし。
ならば、自分がこの自分である理由がどこにあるのでしょうか?

ある特殊な結果に対して、人の地上的意思が反映されると認められたときに「必然」と言い、認められられないときに「偶然」と言っています。
たとえば以前から言われている「野球の七不思議」の一つに、「替わった所に打球が飛ぶ」というのがあります。
でもある解説者によると、
「それは不思議でも何でもない。監督があらかじめ次の相手打者のデータから飛ぶ方向を予測して守備固めをしているからだ」
ということです。
もちろんその因果関係は蓋然性を伴い、古典物理学の法則のように完ぺきではなく、関係を認めなければそれまでですが、これが「偶然」から「必然」への転換です。
「偶然・必然」とは、あくまで「人の思惑」に対して結果がどうかですから。

地上では、地上的な意思と結果の因果関係が認められなければ偶然ですが、霊界には偶然はありません。
いわゆる「必然と偶然」がありません。
みなさんは、あまりにも当たり前の出来事に対してはおそらく「必然」とも思わないことでしょう。
それと同じです。
たとえば、サイコロの目の場合でさえも、古典物理学的の法則に従って結果が生まれると見た場合にはもはや偶然はありません。
もちろん必然という表現も当てはまりません。
ひとえに法則があるだけです。

霊界の摂理も物理学的法則と同じように考えればよいと思います。
霊界での意思は、地上での意思とは異なります。
私たちはみな霊界の摂理に従って、すなわち霊的な意味で選んで自分の親の元に生まれたのです。
親も承知なのです。
親に限らず、身近にいる人たちはみな「縁」があって関わりあっているのです。
昔から、「袖擦り合うも他生の縁」というではありませんか。。
そうです、縁です。
昔の人は縁というものを大切にし、むしろ人生を霊的にとらえていたと思われます。

現代人がそれを単なる巡り会わせととらえるのは、地上的意思が先行して働いているからにほかなりません。
どうやら地球上に唯物論と利己主義が蔓延しているようです。

また、流行りのスピリチュアル系で、「悪縁を断ち切るにはどうすればいいか」などとよく聞きますが、それも地上的思考だと思います。
どんな縁であろうと、真摯に向き合うのが道だと私は思うのです。

「もっとこういう親の元に生まれたかった」
と言えば、親も、
「あんたのような子を産むつもりはなかったよ」
と言う。
「親ガチャ子ガチャ」なんてどっかの喜劇じゃあるまし、もっと霊的に考えてもよいと思うのです。

【*】もし若者たちが唯物論や断見に陥っているのなら、自分という存在は、「脳の産物」または「五蘊」であり、独立した実体(アートマン)はないのですから、言い換えれば自分は今ここにいる肉体そのものであって、親を選ぶにも選びようがないのですから、「ガチャ」ではあり得ません。
ということは、親ガチャを口にする若者たちは、今の自分とは独立した「実体」を暗黙の裡に認めているのであり、それでこそ肉体を選ぶという「ガチャ」の発想が浮かぶと言えます。
つまり偏狭な唯物論(実在論)や無我を履き違えた断見がなければ、自然に霊的自覚が生まれるということを表しています。
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