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教員不足 [中庸]

今回も言葉の欺きです。
みなさんは新聞やネットの見出しに「教員不足」を見ることがあると思います。
でも現場にいる私からすると、そのような感覚は微塵もありません。
たしかに、専任の先生たちは、私の若いころとは比べものにならないほど、量的にも質的にも負担が多く、本当はもっと人手が要るように思われます。
それでも相変わらず講師室には30代前後の若い人が何人も5年ぐらい非常勤のままでいますし、少子化が止まらず1人当たりの持ち時間も年々減っています。

「これはいったいどういうことなのか?」
「マスメディアの教員不足とは公立だけのことを言っているのか?」

そのへんのことを、詳しい人に聞いてみようと、いま同じ講師室にいる2歳上の国語の先生に尋ねました。
すると、
「これはむしろ私立の方が深刻だと思いますよ」
「要するに国からの助成金が下りないからです」
「なので、不足しているんですけど、『採用』がないんですよ」
とあっさり返ってきました。
私は腑に落ちたのと同時に落胆しました。
「なんだ、結局我々教員が不遇な思いをしているのは、国が教育機関にカネをかけていないからなのか」(小泉政権の時にそれまでの3分の2になったようです)

大学はもっと酷くて、今始まったことではなく、あの隣の席にいた「物理学博士」がずっと講師でいる(手当てが交通費程度で生活できない)ことが象徴しているわけで、日本が昔から文化国でないということに尽きます。

みなさん、どうぞ誤解しないでください。
近頃は世間で、いろいろな意味で「学校はブラックだ」と言われて、教員志願者が減っているために、なり手がいないと思っている方がいらっしゃるでしょうけど、それは間違いです。
教員のなり手はたくさんいます。
ただ、学校側が教員を雇うカネがないだけです。
外部の人たちの中には、
「採用基準が下がると、質の悪い教師が増えるのではないか」
と懸念する人が結構いますが、心配には及びません。
基準は下がりません。
それに質がいいとか悪いとか、どういう意味で言っているのかはっきりしませんし、だいいち、採用がきついか緩いかに関係ありません。(もしあるとすれば、父兄や世間一般の学校評価という観点で都合がいいか悪いかでしょう)

ともあれ、教員不足は資金不足が大きな理由なのですから、新規採用がないだけであって、その分、内部では専任教師がたいへんな思いをしているわけです。
マスコミは目に見える状況だけを取り上げて、「ブラックだ」と報道しているのです。

まあこの資金不足は、他の業種でも同じことで、非正規雇用者が4割(?)を占めているのも同じ理由かと思います。
以前にも言いましたが、ひとえに働く人口が多すぎるのです。
それをマスコミは「人手不足」にすり替えるのです。
現に今年から、年金受給者の働いた分を足した収入の限度額が28万円から47万円に引き上げられると、上述の先生から聞きました。
個人の事情からすれば助かる人も多いかもしれませんが、全体的に見れば、税収も確保できて支配者層や政治家が潤う一方、庶民の所得の価値が下がるばかりです。
どうやら恐れていたワークシェアリングが実行されそうです。
かく言う私も、最低限の物質生活確保のため、「有り難いことに死ぬまで働くことができる」かもしれません。

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