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(-)×(-)=(+) [中庸]

  (-)×(-)=(+)  「負の数×負の数=正の数」

みなさんは中学校の数学の授業でこれを教わったときに、本当に納得したでしょうか?
おそらく大半の人は、それで事はうまく解決するし点数をもらえるからと、とりあえず受け入れるものの、腑に落ちないまま学生時代を過ごし、今もそうなのではないでしょうか?
では、今日納得してもらいます。
スッキリさせていただきます。

私はと言いますと、
「マイナスの数を掛けることは、反対方向に何倍という意味だから、それにまたマイナスの数を掛ければ、もとの方向になるに決まっているから」
と、何の抵抗もなく受け入れたので、腑に落ちないなどということはありませんでしたが、あいにく、納得できない人たちに説明することは出来ませんでした。

しかし、数学を教える仕事に就いている今、そうは言っていられません。
いつだったか、ある私立学校の講師採用の面接で、
「これをどう説明されていますか?」
と聞かれ、唐突だったので、
「教科書にありますからそれを使います」
などと言ってしまい、面接官を満足させられなかったことが悔しくて、その後、自分なりに、人に納得させる説明を考案しました。

まず、引き算(減法)というものを、「視点の移動」と捉えました。
たとえば、「A-B」をどう表現するかというと、
  「Bから見たA」
というふうに、引く数に視点を置いてそこから引かれる数を見ると幾つなのか、という思考法です。(高校の数学のベクトルの差の定義そのものです)
言ってみれば、これは、大きいものから小さいものを引くという人間的・日常的な「引き算」と反対方向に足すという機械的な「負の数の和」の中庸をとったものです。
(ぜひ紙とペンをご用意ください。数直線などの図を描いて視覚的にとらえて納得してください)

そうすると、具体的に、たとえば、
  5-3=2 【3から見た5は2】
  4-7=-3 【7から見た4は-3】
この時点で、「小さいものから大きいものを引くこと」が理解できるはずです。

さらに、
  1-(-2)=3 【-2から見た1】
のように、「負の数を引くこと」も容易にわかると思います。

そこで肝腎な「負の数×負の数」ですが、今の「負の数を引くこと」から理解が導けます。

そもそも、正の数とは、たとえば、5ならば、
  5=5-0  【0から見た5】
負の数とは、たとえば、-7ならば、
  -7=-7-0  【0から見たー7】
というように、当たり前ですが、0を視点として見た数です。
そう考えれば、-1を掛ける(正の数を負の数にする)とは、たとえば、-8(8に-1を掛ける)ならば、
  -8=0-8  【8から見た0】
というように、(-)を除いた数から0を見た数ということになります。

そして、ここがいちばん重要です。
つまり、-1を掛けるとは、『先頭の0を省略した引き算』だと考えられるということです。

ということは、-8にさらに-1を掛けたもの、すなわち、-(-8)は、
  -(-8)=0-(-8) 【-8から見た0】
というように、視覚的に理解が得られるわけであり、
  -(-8)=8   
だということ(負の数を正の数にする)がわかります。
   (-)×(-)=(+)   「負の数×負の数=正の数」
であることが腑に落ちたでしょうか?

先日、勤めている学校の職員室で、ある若い社会科の先生がこのことについて、「未だに納得がいかない」と、ある若い数学の先生に訴えていたのを聞いて、
「わたし、それ説明できますよ」
などと、つい出しゃばってしまい、さっそく紙に図を描いて説明しました。
そうしたら、その社会科の先生は、
「ああ、今日はスッキリした」
と、大きな声を上げて満足していました。

ここで次回のために、思考実験を提示しておきます。
「1+1=2」
が納得できなくて学校を辞めた偉人が少なくとも二人います。
みなさんもご存じですよね。
そうです、ピカソとエジソンです。
では、なぜ二人は納得できなかったのでしょうか?


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