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誠実と無能 [霊的存在]

有馬温泉が大沢温泉の湯を使っていたことを客に知らせなかったことが今回発覚しました。
「手続き上のミスで、偽装ではない」
と弁明していますが、客に表示する義務はあるわけで、誰が見ても、故意に怠ったことは明らかです。
もし私が腹黒い責任者でしたら、
「どうせ素人にはわかるまい」
「わざわざ表示して客を減らすなんて、自分が損するだけでばかばかしい」
「過ぎてしまえば、何事もなかったこととして済んでしまう」
「もちろん発覚する恐れはあるが、それは賭けだ」
と考えるでしょう。
たしかに、大事故になることはありませんが、誠実さに欠けます。
もちろん発覚すれば、結果的に、大きく信用を失います。
つまり、「嘘をついて信用を得ている」ということです。
けっして、余計に不安を煽らないための嘘ではありません。
エゴのための嘘です。
それが出来る人を「有能者」と呼ぶのでしょうか?

7年前、私はある私立高校で1年間常勤講師になり、学年末に修学旅行の引率をすることになりました。
行先はオーストラリアでした。
その事前の準備として、父兄を教室に集めて説明を2回開きました。
飛行機に持ち込む荷物の細かい決まりがあり、直前の2回目のとき、父兄に説明したのですが、私自身、海外旅行は2度ばかりで、決まりのうるさいオーストラリアは初めてでした。
学年主任や慣れている先生方から、会議で事前に、
「もし、父兄に聞かれてわからない場合は、廊下に私たちがいますから、こちらへ来るように言ってください」
と言われていたので、そのままそれを父兄に言いました。
そうしたら、翌日、女子生徒が2人私のところに来て、言いました。
「お母さんが、『あの先生、使えない』って言ってたよ」
私は事情をその2人の生徒に言いました。
「あらかじめそうするように言われていたから、そう言ったんだよ」
「知ったかぶりをして、もし何かあったらどうするんだ」
「オレは自分自身の評判より、安全を第一に考えているんだよ」
もっとも、そのように悪く取るのは一部の人間で、その他の人は「誠実さ」と受け止めて、黙っているのかもしれません。
ただ、今はどこの組織も、顧客に媚びているせいか、一部の人たちからでもクレームを付けられてはいけない雰囲気なのです。
以前は、どこの組織でも、武骨であっても誠実な人間というのは、それなりに評価されましたが、今は居場所がありません。
それで、「嘘をついて信用を得る」という風潮が蔓延しているのでしょう。
日本の組織では、言い訳をしてはならないという暗黙の決まりがあります。
言ってはいけないことは、
「できません、わかりません、しようがない(?)」
というのを聞きます。
これについて、ある野球解説者は、
「『わかりません』は言ってもいい」
と反論していましたが、私も同感です。

数年前、電車の中吊りに、
「誠実と無能は紙一重」
という見出しが見つかりました。
これは女性から見た男の選び方の留意点らしいのですが、悪と偽善が横行する世の中で、人を欺くことができないような男は無能者に値するということ、そして女一人面倒を見ることができないということを言っているのかもしれません。
残念ながら一理あります。
ということは、「わざわざ女を騙すような男を選べ」と言っているようなものでもあります。
女性たちにひとこと言っておきますが、エゴのために外部に対して嘘をつけるという点で頼もしい男は、そのエネルギーをいずれ貴女に向けることでしょう。


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