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論語より [中庸]

半月前に本屋で買った『心が冴えわたる論語』という小型の本をパラパラめくっていると、特に目に留まる箇所がありました。
それが、
「民の義を務め、鬼神を敬してこれを遠ざく」(務民之義、敬鬼神而遠之。可謂知矣)
でした。
この本の解説はこうです。
「宗教を信じるのは悪いことではありません。その人の心の支えになるのであれば、すばらしいことです。また神仏を敬うことは人間としての謙虚さも育てます。ですが、その宗教に頼りきって、自分で考えることを忘れると、悲劇が起きてしまいます。自分のすることが神様のすることのように感じてしまい、自分も周りの人も人間であることを忘れてしまうのです。人間としての道を忘れることなく、神仏を敬う。しかし、それに頼りきらずに自分の力で考えるべきときは考える。そのように人間に与えられた知性を活用してこそ、人として生きる道が照らされるのでしょう。」
まさに、本物のスピリチュアリズム(流行りの“スピリチュアル”ではありません)そのものです。
「えっ、でもこれって、解説者がスピリチュアリズム普及会などの人だからじゃないの?」
と一瞬思ったので、念のために検索しました。
2つばかり拾って提示します。

【『中国古典百言百話・論語』・PHP研究所】より
『論語』雍也にある、次のことばが出典です。
樊遅問知。子曰、「務民之義、敬鬼神而遠之。可謂知矣」。
問仁。曰、「仁者先難而後獲。可謂仁矣」。

樊遅(はんち)知を問ふ。
子曰く、「民の義を務(つと)め、鬼神(きしん)を敬して之(これ)を遠ざく。知と謂(い)ふ可(べ)し」。
仁を問ふ。
曰く、「仁者は難(かた)きを先にして獲(う)ることを後にす。仁と謂ふ可し」。
〈解説〉
樊遅が知とは何か、と孔子にたずねた。
「われわれは、ややもすれば人間を超えた存在に頼る気を起こしがちだ。
しかし、まず人間としてやらねばならぬことは何かと考えること、それが知だ」
樊遅はさらに仁についてたずねた。
「人間として正しいことは、たとい労多くして功少なしと知っていても、
あえて実践する態度、それが仁なのだ」

知についての孔子の答え、「鬼神を敬してこれを遠ざく」は「敬遠」の語源。
人間はあくまで人間の次元において判断し、行動すること。
他方、鬼神には尊崇の念をもちながらも、あくまで人間を超えた存在として扱うこと。
この二つを截然(せつぜん)と分かつのが知であるという。
樊遅に対するこの答えは、
「その鬼に非ずして之を祭るは、諂ふなり。
義を見て為ざるは、勇無きなり」と照応する。

【ちょんまげ英語日誌】より
漢文
樊遅問知、子曰、務民之義、敬鬼神而遠之、可謂知矣、問仁、子曰、仁者先難而後獲、可謂仁矣。
書き下し文
樊遅(はんち)、知を問う。子曰わく、民の義を務め、鬼神(きしん)を敬してこれを遠ざく、知と謂うべし。仁を問う。曰わく、仁者は難(かた)きを先にして獲(と)るを後にす。仁と謂うべし。
英訳文
Pan Chi asked Confucius about wisdom. Confucius replied, “You should fulfill your duty as a human. And you should worship gods but should not rely on gods excessively. It is wisdom.” Pan Chi asked about benevolence. Confucius replied ,”You should do your best for others but should not hope for reward. It is benevolence.”
現代語訳
樊遅(はんち)が “知” とは何かと尋ねました。孔子は、
「人としての義務を果たし、神霊を敬うが決してそれに頼らない、これが “知” というものだ。」
と答えられました。次に “仁” とは何かと尋ね、孔子は、
「人のために尽力して報酬を期待しないこと、これが “仁” というものだ。」

どうでしょう?
孔子はスピリチュアリズムを先取りしていたようです。
盲信者や唯物論者に聞かせてあげたいくらいです。
如何なる時も天から光を受けていることを知ること、霊的自覚、これは省察によって可能です。
また、神仏に思考を託すのではなく、地上では霊的意味で地上経験としてすることがあるということを知ることです。
すなわち霊性を得ることが真の信仰です。
神仏あるいは霊的存在を唯物論者に知らしめることと、盲信者に理性を保たせることは、難しいのですが、私はそれを役目と思っていますし、それこそ上にある「仁」と心得ています。





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